自分は当たり前だと思っていたことが、実は全然普通じゃなかった。
という経験はないだろうか。
それが大したことのない話であれば、笑い事ですむ。
でも、もしそれが病気とかであれば、話は変わってくる。
自分が普通じゃないと気づくかどうかは、本人にとってめちゃくちゃ大きな違いになる。
この記事は、
人生ずっと当たり前だと思っていた自分の行動が、実は病気だった
ということを知った私の話である。
自分の行動が当たり前じゃない、と知るだけでも、当事者的にはめっちゃ大きい。
だから、病気についての情報はとにかく大事。
このことが言いたくて、この記事を書いた。
当たり前だと思っていた私の行動
どんな行動なのか
私は小さい頃からずっと、爪を噛むのがやめられない。
どんな症状なのかは、別の記事に詳しく書いている。
別に、誰でも爪を噛む。爪を嚙むのが当たり前。とはさすがに思っていなかった。
ただ、けっこうよくあること。私と同じような人はそれなりにいる。
とは思っていた。
小さい子は、わりとよく爪を噛んでる。
爪を噛むキャラは、アニメとかでも見かける。
デスノートのエルとか。
- 貧乏ゆすり
- 髪の毛をずっと触る
- ストローを噛む
こういう、「あんまり良くない癖」の仲間だと思っていた。
私が見落としていたこと
このとき私は、いくつかのことを見落としていた。
爪を噛む、ということだけであれば、まだわりとよくあることなのかもしれない。
ただ、私の場合は
- 指周りがボロボロで、日常生活にすごく支障が出ている
- どれだけやめたくても、やめられない
こういうものも抱えていた。
こういうのも含めて、よくあることだと思っていたのだ。
やめたくてもやめられなくて、すごくつらい。
これも、わりとよくあることで、普通なんだと思っていた。
病気の情報にたどり着くまで
長いあいだ、自分の行動はわりと当たり前だと思っていた。
ただ、やっぱりすごく困っていたので、原因や対策法を色々と調べていた。
そして、BFRB(身体集中反復行動症)という病気にたどり着いた。
詳しくは上の記事を読んでもらいたいが、これは要するに
- 身体の一部を繰り返しいじる(爪噛み・皮膚むしり・抜毛など)のをやめられない
- それによって、日常生活に支障が出ている
という病気である。
はじめてこの病気について読んだ時は、
これ私じゃん!!!!!!!
と、革命的なレベルのアハ体験だった。
自分のしている行動がどういうものなのか、はじめてきちんと言葉で説明されて、理解できた。
病気だと知って気がついたこと
こんなに苦しいのは普通じゃない
病気について読んで、最初に思ったのは
ああ、私、苦しかったんだな。
ということだった。
もちろん、自分が困っていることくらいは分かっていた。
だから、色々と対策法を調べたりもしていた。
でも、これは全部よくあることだと思っていたから、苦しいのも当たり前だと思っていた。
人生生きていくうえで、普通に受け入れるレベルの苦しさなんだと思っていた。
だから、苦しいという自分の気持ちもスルーしていた。
こんなもんだろう、と思っていた。
自分は病気なんだ、という記事を読んだときに、はじめて
- こんなに苦しいのは普通じゃないんだ
- これは、治療して治すレベルのものなんだ
ということを知った。
自分はもっと楽に生きるべきなんだ、と初めて分かった。
他にも困っている症状があった
もう一つ気がついたのが、
そもそも困っているという自覚がない(けど本当は困っている)症状があった
ということだった。
- 指周りの皮膚をむしる
- 身体中のあらゆる毛を抜く(髪の毛、眉毛、まつげなど)
私はこういうことも、小さい頃からずっと繰り返していた。
でもこれに関しては、困っているという自覚すらなかった。
だから、わざわざ調べようとか、治そうと思ったこともなかった
指周りの皮膚に関しては、爪よりも症状はひどいかもしれない。
肉がえぐれるほど皮膚をかんで、しょっちゅう出血している。
そもそも、指周りの皮膚がツルツルだったことが、人生で一度もない。
でも、完全にスルーしていた。
皮膚がボロボロなのが当たり前すぎて、それについて、本当に何も考えたことがなかった。
人に言われたこともなければ、「皮膚をむしる」という症状について聞いたこともなかった。
なので、気がつくきっかけもなかった。
病気についての記事を読んだときは、
言われてみれば、皮膚むしってるじゃん!!毛も抜いてるじゃん!!
と、ものすごいアハ体験だった。
病気だと知って変わったこと
病気だと知ったからといって、症状が治ったわけではない。今でも困っている。
でも、知ったことで変わったこともある。
対策の道筋がみえた
自分の行動の病名がわかる
というのは、めちゃくちゃ大きい。
病名がわかると、
・これがどういうものなのか
・原因
・対策
このあたりも、だいたい一緒に出てくる。
なので
自分が何をしたら良いのかが見えてきた。
治るんじゃないか、という希望が見えてきた。
病気に比べると、病気とまではいかない症状は、正確な情報がやっぱり少ない。
対策する症状が増えた
- 皮膚むしり
- 抜毛
このあたりは、そもそも症状に対する自覚もなかったので、
なにか対策しよう
と思ったことも当然なかった。
病気について知ったことで、
自分が困っている(けど気づいていなかった)行動にも、対策を始めることができた。
余談:なぜ私が当たり前だと思い込んでいたか
なんで、私が自分の行動を”よくあること”だと思い込んでいたのか。
一つには、発達障害の特性が何か関係しているかもしれない。(私は他にも、「当たり前のことに気づいてなかった」ケースがある)
でももう一つ、「爪を噛む」という症状が日本でどう認識されてるか、というのも関係してると思っている。
ネットに出てくる情報
「爪を噛む」
でネットで調べると、だいたい「爪を噛む癖」「咬爪症」というのが出てくる。
- 爪を噛んでも、別に大きな害はない
- でも、衛生面で問題が起きやすい
こういうことを書いた記事が多い。
なので私はそれを読んで、
爪噛みはやめたほうが良い癖だけど、やったとしても、そんなに問題ではない
という印象を受けた。
自分はめちゃくちゃ困っているけど、どうも調べる限り、そんな大した話ではなさそうだ。
と思ったのだ。
おそらく、私がネットで見た記事のほとんどは、私ほどひどくないケースについて書いていたのだと思う。
- 何度もやめようとしてるのに、やめることができない
- 物理的・精神的に、日常生活で支障が出てる
こういう症状については、書かれている記事を見なかった。
でも私は、書かれてないだけで、みんなこうなんだと思ってた。
ネットに出てこない情報
「爪を噛む」
で検索したときに、BFRBという病気についての記事が出てくれば良かった。
でも、BFRBという病気は、まだ日本では全然知られていない。
なので、
爪噛みで本当に困ってるなら、それは病気かもしれない。
BFRB(身体集中反復行動症)に当てはまるかもしれない。
こういうことを教えてくれる記事がなかった。
「身体集中反復行動症」で調べたら出てくる。
けど、病名で検索は知らないとできない…
まとめ
・ネットで調べるかぎり、そんな大した話ではなさそうだ
・(何も書かれてないから)みんなも、めちゃくちゃ困っていて苦しいんだろう。こういうものなんだろう。
私はこう思い込んでいた。
つまり、
BFRBという病気を知る機会がなかった
というのが、私が自分の行動を疑わなかった原因の一つだと思っている。
情報は大事、とよくいうけど、本当にそれを実感した。
病気についての情報がない
↓
自分が病気だと気づくことがない
↓
ずっと苦しいまま、それを当たり前だと思ってる
こういうことになる。
おわりに
私がBFRBという病気を知ることができたのは、
英語で自分の症状を検索した
からだった。
アメリカは、BFRBが日本よりもかなり広まっている。
詳しく書かれた記事や本、専門の研究センターや、当事者が交流するコミュニティも出てきた。
日本語と英語では、こんなに出てくる情報が違うんだ…
というのも、驚いたことの一つだった。
日本語で調べたときも、同じように、もっと情報が出てきてほしい。
と思ったのが、私がこのブログを始めた大きな理由の一つでもある。