【身体集中反復行動症/BFRB】爪噛み・皮膚むしり・抜毛の病気

爪嚙み・皮膚むしり・抜毛をやめたくてもやめられないという病気

爪を噛む、皮膚をむしる、毛を抜く

これを、やめたくてもやめられない。一日に何回も繰り返してしまう

こういう行動が思い当たる人、いないだろうか。

それはBFRB(身体集中反復行動症)という病気かもしれない。

BFRBは、まだ病名自体は日本であまり知られていない。

でも、世界中の約5%の人に該当する症状がみられる、と言われている。

この記事ではBFRBについて、症状・原因・治療法などを詳しく解説している。

  • 爪噛み
  • 皮膚むしり、皮膚はがし
  • 唇噛み
  • 抜毛

こういう症状で悩んでいる人は、ぜひ読んでほしい。

  • なんでやめられないんだ?
  • どうやって対策したら良いのか?

この記事ではこういった疑問が解消できる。

目次

BFRB(身体集中反復行動症)とは何か

症状

BFRBは、医学的には以下のように定義されている。

  • むしるなどの方法で体の一部をいじり、その結果、ときに体に損傷が生じている
  • 何度もその行為を減らそうとするか、やめようとしている
  • その行為のために大きな苦痛が生じているか、日常生活に支障をきたしている
“身体集中反復行動症”. MSDマニュアル家庭版サイト.

要するに、

  • 身体の一部を繰り返しいじる行動がやめられない
  • それによって困っている

こういう症状を、BFRBと呼ぶ。

代表的な行動としては、以下のようなものがある。

  • 爪を噛む
  • 唇を噛む
  • 皮膚をむしる
  • 毛を抜く

ちなみに、皮膚をむしる・毛を抜く、という症状は別でも病名がある。

・皮膚をむしる…皮膚むしり症
・毛を抜く…抜毛症

病名は別でもあるけど、基本的にはBFRBという病気の仲間に入る。

ちなみにBFRBは、英語名のBody-focused repetitive behaviorの頭文字だよ。

症状がどんな感じなのか、もっと詳しく知りたい場合は、以下の私の体験談も参考になると思う。

病気の種類

BFRBは、強迫性障害に関連する病気とされている。

強迫性障害とは
・自分の意志に反して、ある考えが頭に浮かんで離れない(強迫観念)
・それによって生まれる不安を取り払おうと、何度も同じ行動を繰り返す(強迫行為)
出典:”強迫性障害”. 社会福祉法人恩賜財団済生会.

強迫性障害の代表的な行動としては、以下のようなものがある。

  • 汚れなどへの恐怖から過剰に手を洗う
  • 何度も戸締りを確認する
  • 物が規則正しくならんでいないと不安

ただ、強迫性障害とBFRB自体は、別の病気である。
あくまで、医学的には仲間として分類される、というだけの話だ。

特徴や治療法などは違う部分も多いので注意。

原因

明確な原因はわからない

何が原因で、BFRBの症状が起きるのか。

結論からいうと、まだ明確には原因が解明されていない。

なので、ネットで爪噛みや皮膚むしりの原因を探しても、色んな違う答えがでてくる。

情報によって言ってることが違うから、困る・・

でも、

これが原因なんじゃないか??

と研究者のあいだで考えられているものはいくつかある。

この記事ではそれを紹介する。

ちなみに、この部分については
Overcoming Body-Focused Repetitive Behaviors”
という、強迫性障害を専門とするアメリカの医者が書いた本を参考にしている。

BFRBについてかなり詳しく書かれているので、英語が読めるならおすすめだ。
(日本語だと、BFRBについての詳しい本が見つからなかった)

可能性① 生まれつきの何か

まず一つ目に、

その人にもともとある何か

が原因じゃないか、という考え方がある。

例えば、こういうものだ。

  • 遺伝子
  • 動物的な本能(毛づくろい)
  • 大脳基底核(運動制御に関係する脳の部位)の働き
  • ニューロトランスミッター(神経伝達物質)の働き

つまり、

生まれつき、BFRBの症状が起きやすい人と起きにくい人がいる

という考え方ともいえる。

ただ今のところ、これらの中でBFRBとの関係が明確に証明できたものはない。

なので、BFRBに生まれつきの何かが影響しているのかは、まだ何とも言えない。

可能性② 後から発生した何か

「生まれつきの何か」の反対の考え方として、

生きていくうちに後から発生した何か

が原因だという考え方もある。

こっちのほうが、医療現場では一般的な考え方だと思う。

生まれつきの問題だとすると、治療はそもそも難しいから…

具体的には、どういうものが原因になるのか。

これは人によって全然違ってくる。
でも、可能性としては以下のようなものがある。

  • 環境・場所
  • 身体の状態や動き
  • 感覚(視覚・触覚など)
  • 感情や考え方

これについては、別の記事で詳しく説明している。詳しい原因や対策法については、そっちを読んでほしい。

発達障害との関係

BFRBの原因に、発達障害は関係してるのか。

結論を言うと、

発達障害の特性がBFRBを引き起こしている、ということはあり得る。

そもそも、発達障害の人は、強迫性障害にもなりやすいと言われている。

そしてBFRBに関しても、同じような関係が指摘されている。

  • 繰り返し同じ行動をするのが好き
  • 感覚に偏りがある(感覚鈍麻、感覚探求)
  • こだわりが強い
  • 衝動的に行動する傾向がある
  • 不安やストレスを感じやすい

こういう発達障害の特性が、BFRBを引き起こしやすいと言われている。

BFRBの症状がある=発達障害、ではない。
発達障害でなくても、BFRBの症状がある人はたくさんいる。その逆パターンもある。

ちなみに私の場合は、

指周りの感覚が鈍い(から、刺激がほしい)

という感覚の偏り(発達障害の特性の一つ)が、爪噛みや皮膚むしりの原因だと思う。
これについては以下の記事に書いている。

治療法

BFRBの症状に対しては、どんな治療法があるのか?

  • 薬物療法
  • 心理療法(認知行動療法)

この2つの治療法がメインのようだ。
それぞれ説明していく。

薬物療法

BFRBの症状が治る!
という薬は、まだ開発されていない。

ただ、特定の抗うつ薬や抗精神病薬は、

特に、うつや強迫症・不安症などもある人には効くのではないか

と考えられているようだ。

心理療法とセットで、薬の服用をおすすめされる場合もある。

気になる場合は、お医者さんに相談してね

心理療法(認知行動療法)

認知行動療法とは

薬を使わない治療法としては、心理療法(認知行動療法)がある。

認知行動療法とは
自分の考え方の歪みを認識・理解させて(認知療法)、それによって起きている人生の問題や行動習慣を変えていく(行動療法)という心理療法。

「認知行動療法」は治療の大きなジャンル名で、具体的な治療法は色々な種類がある。

うつ病・総合失調症・パニック障害など、症状によって、どんな認知行動療法をするかは変わってくる。

BFRBの場合は、

習慣逆転法(Habit reversal training, HRT)

という治療法が、一番効果があると言われている。

習慣逆転法とは

習慣逆転法の治療は、以下の流れで行われる。

  • 自分がしている行為に対する自覚を高める
  • 問題の行為の引き金になる状況を特定する
  • 問題の行為を別の行為(こぶしを握りしめる、編み物をする、手の上に座るなど)に置き換えるなど、問題の行為をやめるのに役立つ対処法を実践する
“身体集中反復行動症”. MSDマニュアル家庭版サイト.

要するに、

爪噛みや皮膚むしりが止められないのは、それが「習慣化」しちゃっているから。

その習慣を壊す・新しい習慣で上書きすることで、BFRBをやめることができる!

という考え方に基づいて行われる治療だ。

習慣の仕組みについては、別の記事に書いている。

ポイントは

  • 習慣化された行動は、本人の意思に関わらず、無意識に行われる
  • 何かのきっかけ(引き金)があって、行動はスタートする

ということだ。

なので習慣逆転法では、以下の2ステップで、習慣を変えていこうとする。

  • 何がきっかけ(引き金)なのか特定する
  • きっかけによって引き起こされる行動を変える(やめる・別のものに置き換える)

習慣逆転法の治療は、まだ日本にあまり広まっていない。
この治療が受けられる病院は少ないようなので注意。

BFRBの症状がある場合にやること

BFRBの症状に思い当たることがある
という人は、何をしたら良いのか。

  • 病院に行く
  • 自分で心理療法的なことをしてみる

このあたりが考えられる。

病院に行く

BFRBの自覚がある場合、

基本的には病院を受診するのが一番良い。

というのも、爪嚙みや皮膚むしりをやめたくてもやめられない、というのは、

自分の力ではどうしようもない

というレベルの状態だ。

正しい知識に基づいて、適切なステップを踏んでいかないと、やめるのは難しい

なので、専門家の力を借りて、適切な治療を受けるのが、治るまでの一番の早道だと思う。

自分の困っている症状で検索して、見てくれる病院を探すのが良い。

自分で心理療法的なことをしてみる

とはいえ、色んな理由で、病院に行けない・行きたくない人もいると思う。

それにそもそも、BFRBの正しい知識に基づいて治療をしてくれる病院が、日本ではまだ多くない気がする。

私は調べても、何か違うなぁ、と思う病院が多かった…

その場合、

自分で認知行動療法的なことをしてみる

という方法をおすすめしたい。

別に難しいことではない。あやしくもない。
やることは、ざっくり言うと以下の感じだ。

自分でやる認知行動療法

  • BFRB症状のきっかけ(引き金)を見つける
  • 引き金が起きたタイミングで、BFRBが起きないように工夫する

病院で認知行動療法を受ける場合も、ベースは同じようなことをする。

ただ、

  • きっかけ(引き金)を見つける
  • 症状が起きないように対策を立てる

このあたりは、ある程度の正しい知識があった方が、上手くできる。そして効果も出やすい。

なので、自分でこれをやってみようと言う場合は、正しい情報・やり方を知っておいたほうが良い。

これについては、別の記事に詳しくまとめた。やり方を知りたい人は、そっちを読んでほしい。

おわりに

爪嚙み、皮膚むしり、抜毛

私は昔からずっと、これで悩んできた。
でも、BFRBという病気を知ったのは本当に最近だ。

いくらネットで、

「爪嚙み 原因」「爪嚙み 対策」

と調べても、全然この病気のことは出てこなかった。

身体集中反復行動症、で検索したら出てきた。でも、知らないのにそんな検索できない…

私と同じように困っている人に、

こういう病気があるんだ

ということを知ってほしくて、この記事を書いた。

私も仲間!こういう対策法が上手くいった!人生つらい!家族が悩んでる!

色んな経験談やコメント、情報など、みんなからも教えてもらえると嬉しい。

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